親族で相続の話し合いをする時、『私には法定相続分だけ権利があるんだ』とおっしゃる方がいます。本当にそうなんでしょうか?愛媛県松山市の司法書士が法定相続分について解説いたします。
『法定相続分』、みなさんも一度はこの言葉を聞いたことがあるでしょう。例えば配偶者ならば、相続人が配偶者と子ならば二分の一、相続人が配偶者と兄弟ならば四分の三が法定相続分です。
この法定相続分の割合で必ず相続出来るのでしょうか?
相続財産をどう分けるのか。
これはまず第1は遺言に従います。遺言に『◯◯慈善団体に全額遺贈する』と書かれていた場合は配偶者や子・兄弟の法定相続分に関係なく、全額、指定された慈善団体に寄附されます。(遺留分は除く)
遺言が無かった場合は第2として遺産分割協議に従います。法定相続人全員で話し合い、全員同意のもとどう言った財産の分け方をするのかを決めます。この際、法定相続分通りに分ける必要はありません。
遺言もなく遺産分割協議もまとまらない場合は第3として裁判所で決めます。この裁判所では、最終的には裁判官の判断になりますが、多くは法定相続分通りに分ける事になります。
遺言
遺産分割協議
裁判所で決める
みなさんの考えているほど法定相続分は重要な要素ではなかったのではないでしょうか?
しかし、この法定相続分、重要になってくる時があります。
それは被相続人に『負債』、つまりマイナスの財産があった時です。
相続はプラスの財産ばかりに目が行きがちですが、被相続人のマイナスの財産も相続します。
遺産分割協議をする際、例えば、『家などの財産全てを長男が相続するかわりに、被相続人の借金全てを長男が引き受ける』、こんな遺産分割協議も可能です。
少し、理解が難しいかもしれませんが、こう言う遺産分割協議は当事者、つまり相続人同士の間では有効ですが、この事を借金の債権者に主張する事は出来ません。
具体的に言うと先程の借金は全部長男が引き受けると言う遺産分割協議をしても、借金の債権者には主張出来ませんので、債権者は次男に『被相続人の借金を返せ』と主張し、次男から借金を返済してもらう事が出来ます。その後、相続人同士では遺産分割協議が有効ですから、次男は肩代わりした借金を長男から返済してもらう事になります。
この時、債権者が次男に借金を返せと主張出来るのが法定相続分までです。
例えば、借金が1000万円で長男次男の法定相続分がそれぞれ二分の一だった場合、債権者は『長男に1000万円返せ』とも『長男に500万円、次男に500万円返せ』とも主張出来ます。
でも、最終的に次男は長男から支払ってもらうのなら良いのでは?と思われるかもしれません。
しかしながら、プラスの財産よりマイナスの財産の方が多かったらどうしますか?
確かにプラスの財産だが簡単に換金出来る財産でなかったらどうしますか?
事業をされている方が亡くなるとプラスの財産も多いがマイナスの財産も多いと言う場合もよくあります。先程の例の場合は遺産分割協議で全財産を長男に渡すのではなく、次男が相続放棄をする事によって長男に全財産を相続させる方法を取っておいた方がよかったでしょう。
まとめ
どう言う方法で相続財産を分けるか、一度、専門家である司法書士等に相談してから決定する事をおすすめします。
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