遺言の中でも自筆証書遺言は、誰にも相談せず自分一人で書くことが出来ます。
しかし、中には失敗してしまう方もいらっしゃいます。そんな自筆証書遺言の注意点・失敗事例を愛媛県松山市の司法書士がご紹介いたします。
今回はその第2回目。
【遺言の内容】
田中さん一家
夫 太郎
妻 花子
長男 一郎
次男 二郎
太郎の母 吉子
こんな家族があったとします。
ある日、夫・太郎さんは亡くなってしまいました。しかし、夫・太郎さんは残された人たちが相続でもめないように遺言書を残していました。
遺言書
『私、田中太郎の財産はおかあさんに2分の1、息子の一郎と二郎に4分の1ずつ相続させる。
令和◯年◯月◯日 田中太郎 印』
さて、ここで問題です。
この遺言書を読んで、みなさんは太郎さんがどのように相続させようとしたと思いましたか?
妻 花子 2分の1
長男 一郎 4分の1
次男 二郎 4分の1
と思った方も多いかもしれません。
しかし、そうじゃないと思った方もいるかもしれません。
太郎の母 吉子 2分の1
長男 一郎 4分の1
次男 二郎 4分の1
妻 花子 なし
と思った方もいるでしょう。
子供のいる男性の場合、妻を『おかあさん』と呼ぶ事はよくあります。
ですので、最初の遺言書では2通りの解釈が可能です。しかし、太郎さんの亡くなった後ではどちらが太郎さんの真意なのか聞く事は出来ません。また書き直す事も出来ません。
せっかく遺言書を書いたのに、逆に妻・花子と母・吉子がもめる結果になってしまいました。
遺言書を書く時は、内容に曖昧さが残らないよう書かなければなりません。後日、他人が見て疑義がないように書かなければなりません。
通常は名前、続柄、生年月日で相続人を特定します。また、公正証書遺言の場合、わかっている場合は本籍を記載する事もあります。今回の例で言うと、
『おかあさんに相続させる』
ではなく
『妻 田中花子(昭和50年5月5日生、本籍 愛媛県松山市◯◯番地)に相続させる』
と記載します。
間違いのない遺言書を作りたいと言う方は、司法書士にご相談ください。
前の記事 遺言、注意点1
まとめ
曖昧な内容の遺言書だと、逆に争いのタネになる事もある
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